風呂掃除を毎日する人は多いだろうが、トイレ掃除を毎日する人は少ないんではないだろうか?
我々は「トイレは汚い」という先入観があるためどうしても億劫になってしまう。
まな板、スポンジ、スマホ、お金、我々が普段手にするものの方が細菌が多いという事実を全く知らないのか忘れてしまっているのだ。
「トイレブラシを使わない」という掃除方法を今回記事にするのだが、
今まで当たり前とされてきているトイレブラシがいかに不要かという情報を提供し、かつ代替案の利便性を示すことでその意見に説得力を持たせる。
汚れ落としの原理原則について理解している人は意外に少ないだろう。今回の記事を読んで、億劫なトイレ掃除を気楽なものと理解し、ハードルを下げてもらいたい。
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目次(クリックで移動)
トイレブラシは不要
トイレブラシは下水道と同レベルの汚染度
住居用洗剤を販売しているメーカーであるジョンソンの商品に、
「流せるトイレブラシ」という商品がある。
トイレブラシで言う「柄」の部分が本体として販売されており、その本体に付け替え可能な洗剤入りの不織布を取り付けることによってトイレ掃除として使用できる、そして使用後はそのままトイレに流すことができる。という、わざわざ説明するまでもないほどの大ヒット商品だ。
この商品の正確な開発経緯は不明だが、この商品は「トイレブラシは不潔だから、清潔なものを使用しよう!」と謳っている。
またジョンソンのホームページでは、「トイレブラシの細菌やカビの数は下水道に匹敵する」との記載があり、如何にトイレブラシが不潔であるかわかる。
また、(財)北里環境科学センターからも、家庭で使用されている受け皿付トイレブラシを検査したところ、「ブラシには1本あたり72万~8億4000万個の細菌と、7万2000~330万個のカビが付着している」という衝撃的な調査結果が発表されました。
この数値はなんと、下水道と同程度の汚染レベルに匹敵するレベルなんだとか。
トイレの雑菌を科学しよう:快適な暮らしのためにより引用
綺麗にするための道具そもそもが不潔であるのは、本末転倒としか言いようがない。
しかし今回の記事では、この「流せるトイレブラシ」すら使用しない掃除方法を提案したい。
これは汚れ落としの基本原理を抑えれば納得できることだろう。
汚れ落としの基本
汚れと逆の液性の洗剤を使用する
「液性」とは、溶液(ここで言う洗剤)の性質、つまり「酸性・アルカリ性」のどのくらいの程度かを表すもので、単位はpH(ペーハー、ピーエッチ)となっている。
住宅用洗剤のpHの範囲は、0~14の範囲になっており、
0に近づくほど酸性が強くなり、
14に近づくほどアルカリ性が強くなる。
また中心の7は中性となっている。
汚れの種類に応じて液性を変える(同じ色を使用)
例】油汚れ(酸性)にはアルカリ性の洗剤を使用する。
「油汚れにJOY」のキャッチコピーでおなじみの食器用洗剤のJOYの液性は「弱アルカリ性」だが、これは食器に付着する汚れ(食べかす・油汚れ)が「酸性」であるからだ。
つまり
「酸性の汚れ」には「アルカリ性の洗剤」
「アルカリ性の汚れ」には「酸性の洗剤」を使用すれば汚れは中和され、落ちると言われている。
これはレンジフード・コンロなど強力な油汚れを落とす合成洗剤だが、液性はアルカリ性となっている。
その他にも身近にある洗剤を見てほしい。汚れと逆の液性となっているケースがほとんどだろう。
合成洗剤と洗浄剤の違い
インスタでもよく紹介されている「ウタマロクリーナー」やドラッグストアの店頭で置かれている住居用洗剤の多くは「合成洗剤」と言われている、主な洗浄作用が「界面活性剤」となっているクリーナーである。
界面活性剤とは、衣料用洗剤から食品まであらゆるものに含有されているもので、「水と油」のように本来混じらわないものを混じらわせる作用があり、洗剤もその原理で汚れを取るのだ。
例えば、衣類についた皮脂汚れ(油汚れ)は水だけでは落ちないが、
界面活性剤によって皮脂汚れと水の境目(界面)を活性化させ汚れを落とすことができる。
またシャンプーも界面活性剤が入っているし、マヨネーズも本来混じらわない水と油が混じらっていることから分かる通り、界面活性剤が含有されている。我々の生活とは切っても切れないものなのだ。
- 界面:物質の境目(水と油など)
- 活性剤:働きを活性化させる
⇒服と汚れの界面を活性化させ、汚れを落とす
対して洗浄剤は、ホームセンターに置いてあったりする、主な洗浄作用が「酸」や「アルカリ剤」であるクリーナーのことを指す。
合成洗剤よりもよく汚れは落ちるが、使用箇所や手指への刺激も強いため
「素手厳禁」や「混ぜるな危険」などとパッケージに記載されている。
もちろん、合成洗剤にもアルカリ剤が入っている場合もあるし
洗浄剤にも界面活性剤が入っている。
主な洗浄力が何なのかによってどちらかに分類されるのだ。
pH値が酸性とアルカリ性の洗浄剤を混ぜると有害物質が出るため絶対に混ぜてはいけない。
トイレの汚れ
サンポールがなぜロングセラー商品なのか
サンポールは名前から分かる通り、液性は酸性の洗浄剤である。
塩酸を主成分としているため、pH値は酸性となる。
汚れと逆の洗剤を使用することで汚れが落ちるため
トイレの汚れはアルカリ性であることが分かる。
主な汚れはアルカリ性であるため酸性の洗浄剤であるサンポールは汚れをよく落とすのだ。
普段から清掃を行えばこびりついた汚れにはならないのだが、上で述べた通り「トイレは汚い」という我々のマインドがトイレ掃除から遠ざけ、結局サンポールのような強力な洗浄剤を使用しなければならないほどの汚れとなってしまい、その結果売れ続けロングセラー商品となったのだ。
ユニリーバのドメスト、花王のトイレハイターなど水酸化ナトリウムを主成分としたアルカリ性の洗浄剤も存在するが、これは黒ずみ(サボったリング)を落とすもので、黒ずみは水垢やホコリが酸化したものであるから普段から綺麗にしておけばできる代物ではない。つまりアルカリ性の洗浄剤はあくまで「汚れ落とし」に特化したもので、普段清掃では余りある能力なのだ。
トイレの汚れの正体
上で黒ずみは酸性の汚れであると説明したが、トイレの主な汚れはアルカリ性である。これは尿に含まれるカルシウムなどの成分と水道水に含まれる成分が付着し固形化された尿石と呼ばれるもので、強烈なアンモニア臭を放つ。
尿の飛び散りをなくすために男性でも座って小便をする家庭が増えたと思うが、これは徹底されたい。結局尿の飛び散りはフチ裏など便器内だけにとどまらず、床や壁にまで飛び散る。これにより発生する臭いも「トイレ=汚い」を増長させてしまうのだ。
まとめると、尿石がトイレの汚れの主要因で臭いも放つため尿石を作らせないことが重要となる。
また尿石は石化したもののため、マジックリンなどの中性洗剤やクエン酸などの弱酸性の洗剤では落ちないことがほとんどだ。もちろんブラシでこすっても。
- 尿石は臭いの原因である
- ブラシでこすっても落ちにくい
- 合成洗剤では落ちにくい
- 便器のフチ裏に付着しやすい
⇒尿石を作らせないことが重要
トイレ掃除は吹きかけるだけ
尿石がトイレ掃除を億劫にする主要因であり、尿石を作らせないことが何より大事だと説いてきた。
それを達成することに必要なのは、
「塩酸」を主成分としない「酸性」の「洗浄剤」を「便器に吹きかける」だけである。
もちろん家族の人数、使用回数によって頻度は異なるが、やることは同じである。フタや便座のフチは「トイレクイックル」や「キレキラ」などの厚手のシートで拭いて流せばいいのだ。
なぜ「塩酸を主成分としない」方がいいのか
もちろん塩酸はトイレの尿石落としには絶大な効果を誇る。もしあなたのトイレが何か月も掃除されていない尿石まみれの便器だったらすぐに使用をおススメする。しかし上の通りのトイレ掃除の運用を行っていれば尿石がこびりつくことはないし、軽い尿石ならば塩酸以外の酸性の洗浄剤で十分落ちる。
重要なのは、基本的に洗浄剤は「汚れ落とし」に特化した商品であり、普段の清掃には不向きなのだ。
今回のトイレ掃除で言うと、塩酸は危険な成分であるし、塩酸特有の臭いも発生する。そのため「塩酸を主成分としない」洗浄剤をおススメする。
トイレルック(ライオン)こそが最高のコスパ
もちろんすべての商品を知っているわけではないが、どこのドラッグストア、ホームセンターを見ても大体置いてある商品であり、価格も安い。
全ての生活者に有益な情報の提供を目指す俺としては「手に入れやすい」ということは重要視する点だ。
その前提のもと、以下に優れている点を記載していく。
酸が塩酸ではない洗浄剤
繰り返しになるが、「酸・アルカリ剤」が主な洗浄作用となるものを「洗浄剤」という。そしてトイレの代表的な汚れである「尿石」はアルカリ性だ。
アルカリ性の汚れを落とすには「酸性の洗浄剤」が最も適しているが、
多くのトイレ用の酸性の洗浄剤は「塩酸」が主成分となっており、普段の清掃には不向きとなる。
今回紹介するトイレのルック 除菌消臭EXは酸性の洗浄剤でありながら、
主成分が塩酸でなく「スルファミン酸」と言われる塩酸独特の刺激臭が少なく、金属など素材に与える腐食性も少ないものを主成分としている。
つまり普段の清掃で使用しやすい成分となっているのだ。ただ使用している感想だが、刺激臭が全くないわけではなくサンポールなどと比較すると少ないという程度の臭いということは注意されたい。
強い洗浄力
もちろん洗剤たるもの汚れ落ちが最も重要だろう。しかし繰り返し述べたように酸性の洗浄剤であれば蓄積されていない尿石なら十分落ちる。もともとの用途は「汚れ落とし」であり、普段の清掃なら十分すぎる洗浄力だ。
中性のトイレ用合成洗剤はブラシでこすることが前提で成分配合されているため洗浄力は比べ物にならないだろう。
濃厚液が汚れに密着し分解する
トイレのルックは洗浄力に加えて、粘度が加わった濃厚液となっており、
汚れに吸着し尿石を分解してくれる。
この濃厚液が「吹きかけるだけ」というものを助けてくれる。
本来の使用方法は汚れに対して吹きかけ、2~3分後にブラシでこすることが推奨されているが、これは蓄積された尿石を落とすための方法である。
普段の清掃なら週1回、便器全体に液を吹きかけ、30分くらい放置後に2、3回流せばそれだけで掃除は完了する。
便器のフチや便座は厚手のトイレシートで拭けば問題ない。
トイレ掃除にトイレブラシは不要なのだ。
手に入れやすい
ライオンの商品は歯ブラシから医薬品まで多岐に渡り、ドラッグストアやホームセンターに陳列されている。
このトイレのルックも大抵のお店に置いてあるだろう。
さらに重要なのは、価格が安いことだ。
俺が通うドラッグストアでは本体が170円前後で販売されている。またトイレ用の洗浄剤では珍しく詰め替えが存在しており経済的だ。
まさに日々の掃除にぴったりのアイテムなのだ。
【写真付きで解説】トイレの掃除方法
まずは本体と裏面。
ノイズがフチ裏に塗布しやすいように工夫されている。
液は青色で分かりやすい。塗布後30分ほど放置して水を流せば完了となる。
一度きれいにするという意味でならば、サンポールなどの塩酸を主成分とした洗浄剤を、黒ずみを落とすならトイレハイターなどの水酸化ナトリウムを主成分とした洗浄剤を使用すればいい。
しかし日々トイレを綺麗にする清掃の目的ならば、
トイレのルック 除菌消臭EXで十分なのだ。
是非参考にしていただきたい。